滝沢克己の世界
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(8)鈴木亨の声-西田哲学と「論理」をめぐってー
2017.11.24
それから、滝沢哲学にもう一つ功績があるのは、西田哲学の場合は非常に対象論理、対象論理ということを言うでしょ。あれは対象論理というものと別に「無の論理」とか、述語的論理とかいうものを対応させることからくるわけですね。確かにその対立をきわだたせる必要があったことはわかるんですけど、実際は対象論理というのは、その対象の中に主体が否定的に入っているということがあるわけですね。その点、西田先生の場合は、そこを何か切り離して対象論理の外に自分の論理がそれとはまったく別のものとしてあるような言いかたをなさっており、あれは非常に誤解されやすい。それを滝沢さんははっきりさせて、まさに対象論理というものの中に主体が否定されているということを、つまり主体と無関係な対象論理ということじゃなくて本質的な論理はそうしたものを含んでいるのだということを明らかにしたということがあると思うのです。『畢竟』〔法蔵館、1974)、48,9頁より
鈴木亨は元大阪経済大学学長、「存在者逆接空」の響存世界をひらいた鈴木哲学で著名。