• (14)上野圭一の声-新しい医療の考え方の基礎ー

    2017.11.24

    CAM〔補完代替医療の略〕をかんがえる場合、滝沢氏のこの考察からは学ぶべきことがたくさんある。たとえば、身体性・精神性・霊性を統一的にみるホリスティックな人間観である。…滝沢氏の考察から学ぶべきもうひとつの点は、「その人の単なる恣意(私心)にはよらない自然治癒力が、いわば『逆限定的』にはたらきつつある」という指摘である。つまり、自然治癒力(自発的治癒力)は「すでにそれ自身のうちに、それとは逆の(人のではない)神のはたらきを『含んでいる』」ものだという認識である。『補完代替医療入門』(岩波アクティブ新書、2003)100、104頁より

     

    CAMとはComplementary & Alternative Medicine の国際的な略称で「カム、キャム」と訓む。近代西洋医学が排除した医療で長く残ってきたものすべてを含むようだが、サプリメントなども含まれる。上の引用は誤解をふせぐため最小に止めてある。   この分野独得の用語は文脈抜きに引用しずらい。肝心な点は、アメリカでは広く流布しているこの医療が近代医療の限界を超える未来の医療として登場していること、そこで滝沢の身体論が基礎理論として注目されているという点である。
      なお、上野圭一は翻訳家・鍼灸師。日本ホリスティック医学協会副会長などで活躍。A.ワイルの著書の翻訳などで著名。