• (10)鈴木亨の声ーマルクス主義と疎外の問題ー

    2017.11.24

    マルクス主義だって、一九三二年の『経済学・哲学手稿』が発表されるまでは、そういうことに気づいていない。それによって初めて、労働における疎外が明らかになったわけですね。そしてキルケゴール以後の実存哲学が、精神問題における疎外ということを明らかにしている。この疎外についての二つがマルクスとキルケゴールとをつなぐところにあるわけです。この点を滝沢さんの場合、ある意味ではっきりさせたし、神学上からいって大きなことだと思いますね。『畢竟』(法蔵館、1974)、127頁より、鈴木亨の発言

     

    鈴木亨は元大阪経済大学学長、「存在者逆接空」の響存世界をひらいた鈴木哲学で著名。